今回は、社会心理学を対人関係に生かす方法を取り上げます。対人関係はむずかしく、大きな悩みの種ですよね。
対人関係のテクニックなどは巷に溢れていますが、それがほんとうに意味のあるものなのか不安に思ってしまう方も多いのではないでしょうか。実際、そういったコミュニケーションのテクニックは人によってうまくいったり、いかなかったりするものです。
しかし、学問に裏付けられた知識を使えば、だれでも対人関係を円滑にすることが可能です。対人関係を研究の中心にした学問である「社会心理学」を知ることがコミュニケーション能力の向上の近道になります。
社会心理学で確かになった人の心理的傾向を応用すると、あなたにも対人関係がうまくいくコツが見えてくるでしょう。そこで今回は、社会心理学を知って、対人関係を円滑にするコツをお伝えします。
初対面は大事
学問だの社会心理学だのすごそうなことを書いておきながらこんなことか…と思ったみなさん、すみません。しかし、こんな当たり前のようなことが学問に裏打ちされていると思うと驚くのではないでしょうか。
これは社会心理学の言葉で「初頭効果」といいます。こう言うと確かに学問のにおいがしますね。
円滑な対人関係を実現するためには、身なりを整え、誠実であるというファーストインプレッションを与えることが重要です。
とくに見た目が大事
これも聞いたことがあるかもしれませんね。では、「メラビアンの法則」というのをご存知でしょうか。社会心理学を学んだ人なら知っているかもしれませんが、メラビアンの法則とはアルバート・メラビアンのメッセージの捉え方についての研究を解釈しなおしたものと考えてもらえば良いでしょう。
話の内容をおもしろくする工夫よりも、笑顔ではきはきとしゃべることに注意する方が良いでしょう。
相手にしてほしいことをまずは自分がする
社会心理学の「返報性の原理」の応用です。
プレゼントをもらってお返しをしないと申し訳ないと感じてしまいますよね。
さて、対人関係に話を戻すと、トラブルの多くは相手に対する不満です。解決策はもうお分かりでしょう。相手に求めることを自分がまずやる、そんな簡単なことで相手との関係はうまく回り始めます。
聞き上手になる
話し上手よりも聞き上手になれ。社会に出るとそういわれる機会が増えるのではないでしょうか。もちろん、プレゼンなどでの話す能力は大切ですが、1対1の会話においては聞く能力のほうが重要視されます。聞き上手になるためにはどうすればよいのか、この問いにも社会心理学が答えてくれます。社会心理学によって確かだとされる聞き上手の鍵は「あいづち」です。
さて、あなたの思う聞き上手とはどのような人でしょうか。多くの人が、あなたの話をただ聞くだけでなく、あなたの立場で理解しようとしてくれる人を思い浮かべるのではないでしょうか。うまく相づちをうつと、相手の立場に立っているように感じさせることが簡単にできるのです。
これは社会心理学というより臨床心理学の範囲の知識ですが、「仕事が大変なんです」という悩みに対して「そうなんですね」と返すより「お辛いんですね」と返した方が良い気がしませんか。このように明らかに分かる相手の心情を付け加えるだけで、あいづちがぐっと良いものになるのでぜひ試してみてください。
この記事では誰でもどんな状況でも簡単にできるコツのみに絞ってお伝えしました。社会心理学は、社会の中での心理学・対人関係の心理学の2つを含む分野ですので、わたしたちの生活に直結しています。特定の場面に限ったコツやさらに詳しいことを知りたい方は、社会心理学の本を読むなどしてみても良いかもしれません。
対人関係を円滑にするコツをここまで見てくださった皆さんはお気づきかもしれませんが、対人関係において「相手」の存在は切り捨てることができません。しかしながら、コミュニケーションに不安を持つ多くの人が「自分」を変えようと誤った方向への努力をしていることも事実です。
対人関係の大前提である「相手」の存在を見落とすことなく、さらには「相手」を尊重する意識を持つことが対人関係を円滑にするための第一歩になることでしょう。そのような意識でこれら4つのコツを駆使して、素晴らしい関係を築いてください。
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