仕事が上手くいかないとき、恋に破れたとき、ふと孤独を噛みしめるとき―。人生をやり直したいと悩んだ経験を持つ人は多いでしょう。もしもあの頃に戻れるならと、思いを馳せてみても過ぎた時間を戻すことはできません。これからの人生をどのように歩んでいくのかということが、重要です。
名作映画には、生きるためのヒントやエッセンスがたくさん詰まっています。時代背景や主人公の生い立ちなどは、あなたが置かれている環境とは異なるかもしれません。しかし、映画から現代に生きる私たちに伝わってくるメッセージは数えきれません。
あなたがもし、人生をやり直したいと悩んでいるならば、これからご紹介する9つの名作映画をお勧めします。もしも主人公の立場に自分が置かれたら?どのような生き方を選ぶのか?見終えた頃には、きっとあなたの背中を押してくれること、間違いなしです。
最高の人生の見つけ方
とある2人の初老男性が、同じ病院の同じ病室で出会うところからストーリーは始まります。お金はあるが孤独な病院オーナーでのエドワードと、家族のために工場で働くカーター。普通に生きていれば出会うこともなかった2人が、同じ空間を過ごすうちに友情が芽生えます。
しかし、医師は残酷にも2人にそれぞれ余命宣告を行うのです。死期を知らされたカーターは、死ぬまでにやりたいことを綴った棺桶リストを作ります。隠していたもののエドワードに見つかり、どうせ限りある命やりたいことをやろうと、エドワードは次々にリストへ書き込んでしまいます。そして、ついに2人は冒険へ出掛けます。
命に限りがあることは誰もが知っていますが、突然あと半年の命と言われた時に、あなたなら何をしたいでしょうか。家族のために犠牲にした人生をやり直そうとしたカーターと孤独に生きたエドワード。冒険の中で、生きた証を残そうとします。男の友情と、それぞれの家族愛について考えさせられる作品です。
ペイ・フォワード
中学1年生になったトレヴァーは、新しい担任のシモネット先生が出した課題「世界を変えるためには、どうしたらいいと思う?」について彼なりの答えを出します。それは、善意を受け取ったら次の3人へ渡す「ペイ・フォワード」という考え。
トレヴァーは早速、身の回りの人から3人を選び、良いことをしようとしますが、次々に失敗に終わります。やっぱり世の中なんてクソくらえだと諦めかけたトレヴァーですが、彼がした善意は知らず知らずのうちに次から次へ渡り世界を変えようとしていた、というストーリー。
彼が記者からのインタビューに対して、「臆病な人は変化を恐れ、諦める。でもそれは、負けなんだ。」と答える姿がとても印象的でした。そして、「僕より、勇気をもって次へ渡した母がすごい。」とも答えています。
世界を変えたいとまでは思わなくても、変わらない毎日にすがって安心を覚えていたら?、自分にできるちょっとした善意が誰かの役に立つとしたら?この映画から受け取ったペイ・フォワードを次へ渡すかどうかは、あなた次第です。
イエスマン ”Yes”は人生のパスワード
日頃から何に対しても「No」と答えていた銀行員カールが、親友の婚約パーティーをすっぽかしたことで愛想をつかされてしまいます。このままではいけないと、古い友人の紹介を受け参加したセミナーで学んだことは「全てのことにYesと答えること」。
不審に思いながらもYesと言い続けた結果、魅力的な女性アリソンとの出会いをはじめとして、様々なことが好転していきます。しかし事態は思わぬ方向へ…。
コメディ映画で明るく描かれていますが、冒頭に出てくるカールの日常は、会社と家の往復、友人からの誘いは断り、休日には家でDVDを観て過ごすといったように、まるで現代人の姿を映し出しています。
それがYesと答え続けることでポジティブ思考になり、良いことを引き寄せていくパワーは見ものです。退屈な日常に辟易しているならば、この映画のサブタイトル”Yes”は人生のパスワードを信じて、あなたも唱えてみましょう!
最高のふたり
パリの富豪フィリップは頸髄損傷で首から下の感覚がなく、動かすこともできません。フィリップと秘書が住み込みの介護人を雇うために行った面接に表れたのが職に就く気のない青年ドリスでした。
ドリスは1ヶ月の使用期間を与えられますが、障がい者のフィリップに対していたずらやジョークをしかけて健常者と変わらぬ態度をとるドリスに、フィリップを取り巻く周囲は徐々に信頼を寄せ始めます。そしてフィリップには想いを寄せる文通相手が。ドリスは何とか二人を近づけようと画策しますが…。
障がい者の介護というきっかけでありながら、コンプレクッスをそれぞれ抱える2人に友情が芽生えたのは、真っ直ぐに生きるという共通した信念をお互いに感じていたからでしょう。年齢や生活環境の違い、障がいの有無に関係なく、人と人との関わりを改めて考えさせられる作品です。ラストの憎い演出も見ものです。
レナードの朝
研究に没頭してきたセイヤー医師は、面接を受けに来た病院の手違いで医師として採用されてしまったことをきっかけに患者と向き合い始めます。彼の担当患者は嗜眠性脳炎という病気で、まるで眠ってしまったかのように反応がない状態でしたが、あることをきっかけに治療への糸口を見つけます。
やがてセイヤ―医師は新薬の投与を患者のレナードへ行い、レナードは30年ぶりに目覚めることになります。レナードは失われた時間を取り戻すように、街並みやファッション、自然そして恋を味わいますが…。
30年ぶりに眠りから覚めたレナードはセイヤ―医師に対して、人に感謝することの大切さや人生の喜びを熱く語ります。生きるとは何か、人生において大切にすべきものとは何か。失って初めて気づく大切なものに気づかせられる作品です。
アルマゲドン
小惑星の接近、人類滅亡の危機。これを回避すべく選ばれたのが、石油掘削のプロ率いるハリーのチーム。小惑星の地中に核爆弾を埋めるために立ち向かうハリーたちに様々なトラブルが襲い掛かります。2台のうちもう1台のシャトルの不時着、進まない掘削などのトラブルを無事にクリアできるのか。
人類滅亡の危機は回避できるのかというお話。メンバーの中に娘の恋人がいたり、その関係がもとで気まずい関係になっていたりと不安要素も多くあるなかで、ハリーがとった行動とは。極限の状態に置かれたときに、一番大切なものが何かを思い知らされることになる映画。あなたが本当に大切にしたいものは何でしょうか。
シンドラーのリスト
時は第二次世界大戦下、ナチスドイツによるユダヤ人迫害が行われていた時代のお話です。ドイツ人実業家のオスカー・シンドラーは一旗揚げようと、ユダヤ人が強制移動させられたポーランド南部の都市へ。
そこでシンドラーは、会計の知識を見初めてユダヤ人のイツァークをパートナーに選びます。シンドラーは軍に上手く取り入り、工場の労働者としてユダヤ人を雇い事業を成功へ導きますが、やがて虐殺を目の当たりにして考えが変わっていきます。
始めは商売だけを目的に生きていた男が、ユダヤ人虐殺の現実と向き合った時にとった行動はとても真似できるものではありません。しかし、迫害を恐れず立ち向かう勇気と、1人1人の命の尊さを教えてくれる大作です。
ショーシャンクの空に
妻と愛人を殺害したという冤罪で逮捕されたアンディは、終身刑の判決を受けショーシャンク刑務所に収容されることに。そこでは、囚人同士のけんかや刑務官による暴力が横行していました。
アンディは、所外からタバコや酒を仕入れる調達屋のレッドと出会い、地質学に興味があるとロックハンマーを依頼。じきに元銀行員でもあるアンディは所長の会計係を務めるようになり、図書室の改善など刑務所の環境を良くしようと懸命に働きかけます。
やがて、アンディが捕まるきっかけとなった事件に新しい証言者が発覚し、事態は思わぬ方向へ流れていきます。たとえ刑務所の中にいようとも、希望を忘れずに生きるアンディの姿に心を動かされます。
長く収容されるうちに諦めを覚えた仲間に対して「全力で生きるか、全力で死ぬかだ」と語る姿は、観ているこちら側にも自問自答したいところ。仲間のセリフで「終身刑は人を廃人にする」とありますが、刑務所の中にいなくても自分で作った檻から出ようとしない人がいるならば、是非この映画を観てほしいです。
ニュー・シネマ・パラダイス
敗戦後間もないイタリアの田舎町シチリアにある映画館ニュー・シネマ・パラダイスを舞台とした物語。映画好きな少年サルバトーレ(トト)は映写室へ出入りし、映画技師アルフレートと友情をはぐくんでいました。
しかし、ニュー・シネマ・パラダイスの火災が原因でアルフレートは失明し、その後任としてトトが映画技師に就きました。やがてトトは美しいエレナと恋に落ちますが、アルフレートは故郷を去るようにトトへ告げます。トトの将来を思い、アルフレートが突き放すシーンが印象的です。
恋に生きるか、将来の可能性にかけるかというのは難しい選択です。「人生は映画とは違うんだ。人生はもっと厳しいのだ」というアルフレートのセリフがありますが、一時の感情や甘い気持ちだけではやっていけないのだと深く考えさせられます。なお、この作品は劇場公開版と完全版があり、ラストシーンが異なるため見比べるのもお勧めです。
お勧めの映画を9つご紹介させていただきました。どんな主人公だって、始めから聖人のように出来た人ではないし、勇気を持っていたという訳ではありません。自分の人生に起こる出来事に対して、迷いながらも行動へ移すなかで気付きを得て、成長していく姿が見られたのではないでしょうか。
もし自分が主人公の立場だったらどのような行動をとったのか。本当に自分の身に降りかかってきたら何ができるだろうかと、自分自身の人生に置き換えて考えてみるのもいいでしょう。
人生をやり直すためには、年齢やお金は関係ありません。ほんの少しの勇気や、希望や、愛情があれば、前に進むことができるのではないでしょうか。もやもやと悩んでいる時間があるのであれば、是非これらの名作映画を見てヒントを見つけ出してみましょう!
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