現代の社会では、プレゼンテーションスキルはもはや必須テクニックといって過言ではありません。毎週行われる会議の度に抱えている案件の報告であったり、売上の報告であったり、新規事業の報告、進行状況、その結果。いかなる場面でもプレゼンテーションをして相手に内容を伝えるということが常識になっています。
2011年10月5日に死去したアップル社の設立者の一人、スティーブ・ジョブスはイノベーターとしての高い評価、創造性の豊かさにもさることながら、彼のプレゼンテーションスキルも非常に高い評価を得ている。そのプレゼンテーションスキルの高さを示すようにCarmine Galloという人がジョブスのプレゼンテーションの研究をして『The Presentation Secrets of Steve Jobs: How to Be Insanely Great in Front of Any Audience』という著書も出しています。
そこで今回はスティーブ・ジョブスのプレゼンテーションも参考にして、プレゼンテーションを成功させる7つのポイントをお伝えします。
プレゼンテーションのメインテーマと概要を示す
プレゼンテーションの一番の目的は「リスナーにプレゼンテーションの内容を伝え、理解してもらうこと」にあります。つまり、リスナーに伝わり、理解されなければ、そのプレゼンテーションは成功とは呼べないでしょう。
そのためにはまず、「自分がこれから何について話し、どのような流れで話を進めていき、最終的にはこういうことを理解していただきたい」という概要を冒頭で示すことが大切になってきます。自分のプレゼンテーションの行き先、その“地図”を示すことはプレゼンテーション成功の最初の鍵になるでしょう。
視覚に訴える
“メラビアンの法則”―「話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合である」というのは有名な法則ですね。この法則を大いに利用しましょう。
しかし、みなさんはプレゼンテーションをする際に当たり前にこの法則を使っていると思います。データを示す時はグラフを使うし、場所を示す時は地図を使います。現場の状況を伝えたい時は写真を使います。なので、今回は“どういうスライドが効果的なのか”をお伝えしようと思います。
まず、“シンプル・イズ・ベスト”です。1枚のスライドにたくさんの画像、たくさんの小さい文字は見づらく、読む気も見る気もしなくなります。なので、なるべくシンプルに要点だけを盛り込んだスライドにするとよいでしょう。
「リスナーに見える」ということは非常に大切です。当たり前なのですが、これができていない人は結構多いと思われます。自分都合で情報を押し込めるのではなく、相手が見て“わかる”スライドをつくることを心がけるとよいでしょう。
視覚に訴える Part2 スライド
プレゼンテーションには動きをつけていきましょう。例えば、スライド。多くの一般の方はPower Pointを使ってスライドを作成されると思うのですが、Power Pointではスライドにたくさんの動きをつけることができますよね。文字をどのように表示するのかだけでも多くのエフェクトを使うことができます。音も入れることができたりします。
アメリカの大学でのプレゼンテーションではYoutube動画を合間に使ってプレゼンテーションすることがよくあります。このように工夫次第でスライドだけでも多くの動きを入れることができます。
視覚に訴える Part3 動き
次に、あなた自身の“動き”です。つまり、ジェスチャー:身振り手振り、そして立ち位置です。人は視覚から多くの情報を得ているので、プレゼンテーションの中で強調したいメッセージ・キーワードを伝える際にジェスチャーを組み合わせるとリスナーの心には残りやすくなります。
また、話の流れで立ち位置を変えていくということも有効な手段です。NLPという学問の中では、視線と思考に関連があるとされています。
人は未来を考える時は視線を右に移し、過去を考える時は視線を左に移す傾向があるので、プレゼンテーション中、過去の事例を説明する時はリスナーにとって左側に立ち、未来の話をする時に立ち位置を右側に移す、という工夫をすると、あなたのプレゼンテーションはよりリスナーの心に残るでしょう。
ネステッド ループ(Nested Loop)
Nested Loopとは「前に話した内容を一度振り返ってから、新しい内容を話す」というテクニックです。それまでの内容を一度おさらいするということですね。一通りの内容を最初から最後まで一気に述べるのではなく、話が切り替わる前に一度内容をまとめておくということです。このタイミングでリスナーに質問を訪ねるプレゼンターは多いですよね。
「エビングハウスの忘却曲線」をご存知の方は大変多いと思います。エビングハウスによると、20分経過後、人は覚えたことの42%を忘れてしまうと述べています。
せっかくのプレゼンテーションの内容をすぐに忘れられてしまっては元も子もありませんよね。あなたのプレゼンテーションをしっかりと印象に残すためにもネステッド ループを駆使して、区切り区切りでそれまでのおさらいをするように工夫してみましょう。
リハーサル
これに勝るものは何もありません。まさに練習あるのみです。ここでは効果的な練習方法についてご紹介していきます。
まず、本番の会場で練習をすることです。実際のプレゼンテーションはあなたの部屋ではなく、実際の会場です。あなたの部屋では完璧にこなせたことも、会場が変わり、状況が変わり、環境が変わると、緊張や勝手の違いで思うようにパフォーマンスが発揮できなくなることもあります。そうならないためにも、あらかじめ実際の会場に立ち、リハーサルしてみることは大切です。
次に、実際のプレゼンテーションを誰かに聴いてもらいましょう。本番と同じ内容のプレゼンテーションをすることで、実際にかかる時間はどれくらいなのか、思うよりもうまく説明できなかった点、逆にここは省いても問題ない点など、多くの気付きが得られると思います。また聴いてくれた人からフィードバックをもらい、改善点を探っていきましょう。客観的意見を取り入れたプレゼンテーションはより洗練され、キレのあるものに仕上がること間違いありません。
最後に、どうしても時間のとれない人は冒頭の1分間を最低20回は練習して本番に臨みましょう。最初さえスムーズに流れれば、あとはその流れに乗ってプレゼンテーション全体がスムーズに進むということはあります。なので、どうしても時間のない場合はイントロダクションを重要視して練習してみましょう。
ゆっくり話す
何度もお伝えしますが、プレゼンテーションの最大の目的は「リスナーに自分のメッセージを伝え、理解してもらうこと」にあります。しかし、プレゼンターが早口で、小声で何を言っているのかわからなければどうしようもありません。ただでさえ、本番では緊張してしまい、早口にはなりがちです。そこで本番では大きく深呼吸をし、ゆっくり話すことを心がけましょう。
ゆっくりとした口調は自信のあるような印象を与え、それだけでも内容の説得力が増します。リスナー一人ひとりに語りかけるように、届けるように話していくと、口調はゆったりとしますし、声のトーンにも深みが出ます。そうなると、早口で話をするのとではだいぶ印象が違ってきますね。プレゼンテーションでは落ち着いて、ゆったりと話す意識を持って本番の舞台に立ちましょう。
さて、プレゼンテーションスキルはもはや社会人としての常識です。そんな当たり前のスキルだからこそ、今回紹介した7つのプレゼンテーションのコツを掴んで、自分のライバル・他者との差をつけ、コンペを勝ち取り、自分のアイデアを通し、社会の勝者へと登りつめていきましょう。
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