今回は、認知心理学を利用した記憶術を取り上げます。学生であってもサラリーマンであっても誰しもが、記憶力を上げたいと思いますよね。これまでに記憶力向上のためのコツをたくさん聞いてきたことでしょう。
しかしながら、この記事を読んでいるということは、いまだに自分にぴったりの記憶術に出会っていないのではないでしょうか。テクニックにすぎない記憶術ではなく、認知心理学という学問に基づいた方法で記憶力を上げていきましょう。
認知心理学とは、心理学の一分野で、情報処理の観点から認知活動を研究する学問です。記憶は、この認知活動のひとつなので、まさに認知心理学の守備範囲にあたります。学術的裏付けのある記憶法を習得すれば、記憶力が上がること間違いなしです!
そこで今回は、認知心理学を活用して、記憶力を上げる7つのコツをお伝えします。
まずは記憶について知ろう
認知心理学では、記憶は大きく3つに分類されます。1つ目は、あまり聞いたことがないかもしれませんが、感覚記憶というものです。これは一時的に脳内に残っているだけの情報なので、1秒くらいのわずかな時間で消えてしまいます。
2つ目、3つ目はよく耳にする、短期記憶と長期記憶です。短期記憶は比較的短い期間、限られた容量の記憶です。一方で、長期記憶は一度その貯蔵庫に入るとほぼ永遠に消えることはなく、容量も無限大です。
ここまで述べた認知心理学における記憶の分類で考えると、短期記憶を長期記憶にすることがいわゆる「覚える」ことに当たります。つまり、私たちは「短期記憶をうまく長期記憶に変えること」「短期記憶の容量を増やすこと」ができればよいのです。
短期記憶を長期記憶に変える
短期記憶を長期記憶に変える方法は、認知心理学の専門用語で「リハーサル」と言われます。リハーサルとは、簡単に言うと繰り返すこと。
繰り返せば繰り返すほど、記憶は定着すると一般に言われていますが、これは認知心理学に確かに裏付けされているのです。というわけで、記憶力を上げるためのコツ1つ目は「とにかく繰り返すこと」です。
長期記憶に送る短期記憶の容量を増やす
短期記憶の容量を増やすと書きましたが、短期記憶の容量は「7±2チャンク」と決まっています。チャンクというのは認知心理学の用語で、言い換えるとまとまりのようなものです。短期記憶の容量を増やそうというのは、1つのまとまりに多くのものを詰め込んで長期記憶に送りましょう、ということなのです。
例えば、あか・いえ・つくえ・くるま…のような関連性のない単語リストを覚えさせると、7±2単語以上覚える人がいます。彼らがやっているのが、この詰め込みなのです。
以下で、どのようにして1つのまとまりに多くのものを詰め込み、長期記憶に変えやすくするかについて説明します。その前に、チャンクの概念から記憶力を上げるコツの2つ目をお伝えしましょう。当たり前のようなことですが、「一回に覚える量は多くしすぎない」ことです。
・カテゴリー化する
これが認知心理学を活用して記憶力を上げる第3のコツです。例えば、「ねこ」「いぬ」を「動物」というひとまとまりで考えるのがこれに当たります。・ストーリー化する
記憶力アップのコツ4つ目になります。「ねこ」が「いぬ」の上で寝ている、のようにストーリ−として覚えることです。これが広く使われている記憶法で、一番取り組みやすいのもこの方法です。・関連性を持たせる
5つ目のコツは、すでに覚えている事柄と関連を持たせることです。特に歴史などでは、マインドマップを作るのも良いかもしれません。
思い出す力を強める
認知心理学において、思い出す方法は大きく2つあり、再認と再生といわれています。再認とは、それが自分が学習したものであるかを答えるもので、難易度はそれほど高くありません。記号問題などがこれにあたります。再生も細かくすると、手がかり再生と自由再生にわかれます。この中でも記憶力を鍛えるためにおすすめなのは自由再生です。
例えば、第一次世界大戦について覚えたいなら、「1914年に起こった戦争は?」という問題に答えるのではなく、第一次世界大戦という言葉から思いつく限りのことを答えるようにすべきです。これが6つ目のコツになります。
今回は、認知心理学を活用して記憶力を上げるコツをお伝えしました。記憶のメカニズムが分かったことで、どうすれば記憶力が上がるかが理解できたのではないでしょうか。
ここまで述べてきたことは、認知心理学を応用したものの一部にすぎません。記憶力をもっと上げたいという方は、認知心理学の記憶について勉強してみるとよいでしょう。そうすることで、自分なりの記憶法が見つかるはずです。
これまで試してきた記憶術がうまくいかなかったのは、あなたの能力に問題があるのではなく、単にその記憶術が不正確だったからです。今回ご紹介したのは、学術的にも認められているものなので、安心して試してみてください。認知心理学を活用した記憶のコツをつかめば、きっとこれまで以上に覚えることができると驚くことでしょう。
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