人を信用できない人の原因とその心理とは


人を信用できないという状況ほど、人間にとって寂しいことはありませんよね。現代はコミュニケーション社会、私たちはみんな人の中に生き、人と共に生きています。無人島にでも暮らさない限り、一人で住むことは不可能です。したがって、人を信用できない、誰も信用できないという人は、心を許せない人間の間で毎日生きていかなければいけないのです。

まったく人を信用できないという人は、何らかの事情があって信用できなくなっているものです。生まれつきの性格で人嫌いな人もいますが、それだけが原因でまったく人を信用できないということは稀です。たいていは、何か原因があって、人を信用できないようになったのですね。ということは、私たちもまた、いつどんなきっかけで人を信用できないようになるか分からないということです。

そこで今回は、人を信用できない人の原因とその心理についてお伝えます。

人を信用できない原因は育ち方とトラウマ

人が人を信用できないようになる最大の原因は、育てられ方、特に、親との関係にあります。生育過程で親と信頼関係を結べなかった人は、大人になっても他人との間に信頼関係を結ぶ土台が持てないのです。

たとえば、発言内容がコロコロ変わる親に育てられた人。いま、「お庭で遊んで良いよ」と言ったのに、実際に遊び始めると、「どうしてそんなとこで遊んでるの?!早く家に入りなさい!」というような親の態度は、子供が健全な信頼感を育むことを阻止してしまいます。

この点で、特に重要なのは、父親より、いつも近くにいる母親の対応です。母親に信頼を感じられないと、子供は信頼感を養っていけないのです。

子供が親の言葉を信じられない状況とともに、子供が自分の言葉を親に信じてもらえないという状況もまた、正常な信頼意識を持つことの妨げとなります。嘘をついているわけではないのに「この子は嘘ばかりつく」と決め付けるような親の態度は、子供の心を傷つけ、自分自身も他人も信じられないようになってしまうのです。

また、親以外との関係で信用関係が破綻し、それがトラウマとなって誰も信用できなくなってしまうケースもあります。信頼していた教師や親友、友達に裏切られた、そこからひどい傷を受けた経験があると、人間全体に対して不信感を持ち、人を信用できないようになってしまうのですね。

 

人を信用できない人の心理は不安定で懐疑的

では、人を信じられない人の心理はどうなっているのでしょう?人を信じられない人の心は不安定で、猜疑心に満ちています

私たちが子供だった頃のことを考えてみましょう。私たちが小さかった頃、親や親戚、知り合いなど、信頼できる大人と一緒にいると安心していられましたよね。父と母が側にいれば、何も心配せずに眠ることができました。

では、親がいないときはどうだったでしょう?何かの用事で親が家にいないと、不安になって胸騒ぎがしませんでしたか?あるいは、あまり良く知らない親戚の家に一人で泊まることになったときなど、怖くて泣き出したことはありませんか?私たちは、信頼できる人と一緒にいることで、精神の安定を得ているんです

大人になれば、本来は周囲の人との間に正統な信頼関係を築けるようになるものです。そうしないと、常に不安な思いを抱いて生活しないといけないからですね。人を信用できない人と言うのは、こうした平安が心に訪れない状態で過ごしています。これは、人間にとって不自然な精神状態なんです。

「自分は誰も信用しない」と公然と発言する人がたまにいます。彼らは一見強そうにみえますが、親の元から引き離された子供と同じように、心の中は不安でゆれています。もし、貴方自身がこういう状況にあったり、周囲の誰かがこういう状況にあることに気付いたら、正しいカウンセリングを受けるのがお勧めです。

 

人を信用できない人も本当は信用したいと思っている?

人を信用できない人のなかには、生まれつき人に対する期待感が低く、人など信用しなくても生きていけると考えている人もいます。実際、疑心暗鬼の化身のような人でも、ぜったいに生きていけないということではありません。

ただ、人を信用できないことが心の負担になっている人も少なからずいます。というより、人は信用できないという自覚はあっても、内心ではその思いを脱したい、人を信じて、もっと安定した精神状態を手に入れたいと考えている人は少なくないのです。

信用、信頼というのは、人間社会という海をボートでわたっていくときのオールのようなものです。人を信用できない人というのは、オールなしのボートで海に漕ぎ出したようなものなんですよね。ちょっと風が吹いたり、雨が降ったりすると、方向性を見失って、大海の中でゆらゆら彷徨うしかなくなります。

普通に考えて、オールのついていないような危険なボートで沖に漕ぎ出したいとは誰も思わないということはわかりますよね。これから先の道が長ければ長いほど、失ったオールを取り戻すことの意味が大きくなるのです。一見遠回りに感じるかもしれませんが、将来的に道を失わないためには、人を信じられなくなっている自分の心を見直してみることがとても大切です。

 

人を信用できない人というのは、たいてい生育環境に問題を抱えています。親との信頼関係が築けなかったり、親から信用してもらえなかった子供たちが大きくなると、人を信用できない大人になります。また、生長途上で信じていた人から裏切られるなどの傷を受けた場合、そのトラウマで人を信用できなくなることもあります。

こうした理由で人を信用できない人の心理は、常に不安定でゆれています。いつ裏切られるかもしれない、いつ騙されるかもしれない、そういう疑心に満ちた心で生きていくのは大変辛いものです。

人を信用できない人も、内心ではこうした状況の異常さに気付いていることが多いものです。カウンセリングなどを受けると、本当は人を信じたがっている自分の声に出会うことができます。まずは、人を信用できない状況から脱したいという自分の心の声を受け止めることが大切です。

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