会社だけでなく、学校の部活動、サークルなど組織に属してある程度の年数を経過すれば、新人や若手を育成したり、管理したりするという立場に立たされることは、珍しくありません。
趣味のサークルなどであれば、特別神経質になる必要はないかもしれませんが、勝負がかかるスポーツの団体競技や、何より会社組織にとっては、こうした若手・新人の人材管理はとても重要になってきます。
こうした人材のモチベーションを高く保つことで、チームや組織全体の士気や雰囲気も良くなり、個人だけでなく組織としても目覚ましい成長を遂げる事ができます。では、その若い人材のやる気を引き出すためにはどうすれば良いのでしょうか。
1つの方法として「褒める」事が挙げられます。ただ、褒める事とおだてる事は全く違います。今回は、人材管理を成功させる為に知っておくべき「効果的な褒め方」をご紹介します。
タイミングを逃さないようにしよう
まず、人を褒める際に大切なのはタイミングです。褒めるべき場面に遭遇した際には、その場ですぐに褒めるという事です。時間が経ってからではあまり意味がありません。
一方、褒めるべき場面に遭遇するのに時間を要するような場合は、努力している姿勢などを褒めるようにするのです。褒めるタイミングを逃さないようにするには、普段から見落とされそうな部分にも目を配る事を心がけることです。
例えば、素晴らしい成果をあげて周囲から賞賛されている社員がいれば、その社員が効率的に動けるようにサポートした事務職員の手際を評価して褒めるのです。仕事の成果が見えにくい縁の下の役割の人こそ、タイミングを逃さずしっかり評価して褒めるようにしましょう。
短い言葉でわかりやすく褒めよう
さて、人を褒める時に、つい次の高い要求をしてしまう事はないでしょうか。例えば「Aの結果はとても良かった。でも、Bという問題点があるから、次は改善した方がいい」という感じです。
褒めた方はさらなる成長を期待して奮起を促しているつもりかもしれませんが、言われた方は後半の部分ばかりが印象に残り、褒められたとは思わないかもしれません。
ある成果が達成された事を褒める時は、どこが良かったかという事を具体的に伝えて褒めることに集中します。「Aという成果はA2とA3という部分が良かった。よく頑張った」と。
この方が、褒められた方もモチベーションが上がります。また、あまりに大げさに褒め過ぎるのも、逆に嘘っぽくなり心にもない事を言っていると受け取られかねないので、注意が必要です。
上から目線にならず、感じた事を伝えよう
人を管理する立場にあると、褒める際にも立場を誇示するような言葉が出てしまう事はないでしょうか。「未熟なりによくできている」「90点、上出来だ」などという言い方で褒めるのは、よほど信頼関係が出来上がっていなければ、嫌味や皮肉に聞こえる可能性があります。
点数を付けるのも、いかにも自分は正しい判断ができるという優越感が透けて見えてしまうのです。上の立場から相手を褒める=評価する事と、相手を下に見る事は全く違います。
そのような印象にならないようにするには、自分がどう感じたかという事を伝えるようにするのです。例えば「丁寧で親身な応対のおかげで、お客様の信頼を得たのだと思う」「素晴らしいプレゼンだった。感動した。」という感じです。あとは、明るく穏やかな表情で伝える事を心がけましょう。
ラべリングして褒めよう
より効果的に人を褒めるためには、ラベリングというコツを利用するのも1つの方法です。ラべリングというのは、相手の得意分野について「契約交渉についてはAさんに任せておけば万全」「Bさんの作る企画書は安心の完成度」というように、ラベルを貼って評価するテクニックです。
「自分だから任される仕事がある」という評価は、褒められた本人もやる気が出て、より意欲的にその役割をこなそうとするようになります。
また、評価する側もその人の強みや弱みをしっかり見る事によって、“適材適所”を実現させる事ができるようになり、チームや組織全体の能率を上げる事にもつながります。
第三者を巻き込もう
さらに、第三者をからめて褒めるというのも効果的な褒め方のコツの1つです。わかりやすいのは、成果を上げた際に他の人の前で褒めるという事ですが、その他にも「プレゼンの資料作りはAさんのものを参考にするといい」など、第三者に対して評価を示す方法もあります。
また、「取引先の担当者がBさんの事を褒めていた」と、関係する第三者が褒めていたと伝える方法もあります。特に、評価の対象となる成果が専門性の高いものである場合、その成果の価値が本当にわかる立場の人間からの評価の方が信憑性も増します。
また褒められた方も、評価された事がより印象に残るはずです。ただ、人前で褒める場合は余計な妬みを生じさせないとも限りませんので、贔屓だと感じさせないように気をつけましょう。
さて、人材管理で成功する為に知っておくべき効果的な褒め方についてご紹介しました。若手の人材育成において叱り方と同じくらい重要な褒め方ですが、どちらにも言える事は、その若手のことをよく見る事が大切だという点です。
上昇志向がある、新しいプロジェクトを自分で動かしたい、仕事とプライベートは分ける…など、ある物事に同じ様に取り組んでいるようで、人によって取り組む姿勢は様々です。
育てようとしている若手が、どういう性格でどういう傾向にあるのかという事を、しっかりと把握した上で褒める事が、より効果的に若手の成長を促すことになります。
そして、それが結果として組織全体の質の向上にも繋がるのです。今回ご紹介した「効果的な褒め方」を、貴重な若手と組織全体の育成に役立ててください。
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